この記事は、Foundation(基礎知識)シリーズの入口です。がん登録を始めるときに、まず揃えたい「基本アイテム」 をまとめました。

院内がん登録の実務や中級認定試験では、症例を読み、資料を手元で確認しながら進めます。この記事では、それぞれの資料の役割と使いどころを整理しながら、必要な資料を一緒にそろえられるようにまとめています。
【がん登録を始めるなら、まずはこの5つをそろえると安心です】
- 標準登録様式
- 部位別テキスト
- UICC TNM悪性腫瘍の分類
- ICD-O-3.2
- 解剖学用語
特に、標準登録様式と部位別テキストは、実務の土台として早めに手元に置いておきたい資料です。それぞれの役割と使い方を分かりやすく整理していきます。
1. 標準登録様式|ルールの基本になる1冊

がん登録の実務で、まず土台になるのが標準登録様式です。現在は、2016年版が使われています。
これは、院内がん登録の項目定義や登録ルールがまとめられた資料で、迷った時の根拠になる基本の1冊です。
「側性が必要な部位はどこ?」
「自覚症状があって来院した場合の発見経緯は?」
といった場面で、まず戻る場所になるのが標準登録様式です。
最初のうちは、全部を読もうとせずに、“まずここに答えがある”と知っておくこと が大切です。
さらに、実際の現場では、見やすく使いやすい形に整えておくと、確認しやすくなります。
→ 関連記事:【E7-1】標準登録様式と運用マニュアルを1冊にまとめる方法
2. 部位別テキスト|判断の根拠になる資料

標準登録様式が全体のルールだとすると、部位別テキスト は、各がん部位ごとの腫瘍の広がり・深達度を具体的に確認するための資料です。
実務では、
「粘膜下層までの浸潤はT1?」
「漿膜に達している場合はT4?」
など確認します。部位ごとにルールが変わるので適切なテキストを参照することが重要になります。
部位別テキストは、
- 胃・大腸・肝臓・肺・乳房の主要5部位
- それ以外の35種類
で入手先が異なるという特徴があります。
そのため、まずは「どこから出力するのか」をご紹介していきます。
→ 関連記事:【E7-3】がん登録の部位別テキストを出力する方法
3. UICC TNM悪性腫瘍の分類|病期分類の国際標準

実務では、部位別テキストで調べながら判断することが多くあります。その根拠になっているのが、UICC TNM悪性腫瘍の分類 第8版です。
UICCは、初級や中級の試験時の持ち込みが認められている資料です。
T(原発腫瘍)・N(領域リンパ節)・M(遠隔転移)分類の定義を確認でき、病期分類の根拠になるルールブックです。
英語版を翻訳した書籍のため、最初は言葉が分かりづらく感じることもあります。ただ、実務でも試験でも繰り返し参照する資料になるため、自分の「相棒」として早めに見慣れておくことをおすすめします。
私にとっては、試験のときのお守りのような存在でした。
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4. ICD-O-3|原発部位と組織型をコードで表すルール
原発部位や組織型をコードで確認するときに使うのが ICD-O です。
「この病理診断はどの形態コード?」
「原発部位コードはどこを使う?」
と迷ったときに確認します。
2026年現在は、形態コードと局在コードで参照するICD-Oのバージョンが次のように変わっています。
- 病理組織型(形態コード) → ICD-O-3.2
- 原発部位コード(Topography) → ICD-O-3.1
なぜかというと、標準登録様式の[300] 原発部位《局在コード》 に次のように記載されているからです。
ICD-O-3.2(国際疾病分類-腫瘍学-第3.2版)に従って、その局在コードを用いて登録する。
ただし、ICD-O-3.2版では局在コードの提供がないため、ICD-O-3.1版を代用する。
📖 ICD-O-3.2の内容を確認したい場合は、こちらのサイトが参考になります。
→ 関連リンク:院内がん登録支援サイト(公式|学ぶ・調べる)
📖 ICD-O-3.1はこちらで買うことができます👇
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5. 解剖学用語|からだを立体で理解するための土台

がん登録では、部位の位置関係を理解しながら登録することが重要です。そんなときに役に立つのが、解剖学の理解です。
たとえば、病理結果や手術記事を読むとき、
「肝臓の区域と門脈/静脈の位置関係は?」
「大網ってどこ?」
などを確認するときに役立ちます。
部位の位置関係や壁の構造が頭の中でつながっていると、自信をもって登録しやすくなります。
私が副読本としておすすめしたいのが、『からだの地図帳 解剖学用語(佐藤達夫 著)』 です。絵がきれいで分かりやすく、上皮構造も載っているので、がん登録の知識地固めにおすすめです。
→ 関連記事:【F1】漿膜とは?|ここを理解するとT分類で迷わなくなる
おすすめの揃える順番
- 標準登録様式(全体のルール)
- 部位別テキスト(部位ごとのルール)
- ICD-O-3.2(コード化)
まず実務の土台として印刷して手に入るのが、標準登録様式・部位別テキスト・ICD-O-3.2 です。この3つがあると、全体のルール、部位ごとの判断、コードの確認という、がん登録の基本的な流れを体験できます。
UICC TNM悪性腫瘍の分類 は、試験を受けると決めたタイミングで購入を考えてもよいと思います。試験会場へ持ち込める資料なので、必要箇所に書き込みを加えておくと安心です。
解剖学の本 は必須ではありませんが、カルテを読み込み、原発部位をより深く理解したいときにとても役立ちます。特に、放射線レポートを読むときに手元にあると参考になります。
最初から全部そろえなくても、よく使うものから少しずつ手元に増やしていくことで、モチベーションを保つ秘訣かもしれません。
基礎を深める? 全体像を見る?
がん登録に必要な資料が見えてきたら、次は基礎から理解を深めるか、全体の学び方を見るかを選べます。
基礎から進みたい方へ
まずは、解剖やT分類など、実務の土台になる考え方を一つずつ確認したい方向けです。
→ 【F1】漿膜とは?|ここを理解するとT分類で迷わなくなる
全体の流れを見たい方へ
これから何をどんな順番で学べばよいか、サイト全体の進み方を確認したい方向けです。
→がん登録の学習ロードマップへ
まとめ
がん登録を始めるときに、まず意識したい基本アイテムは次の5つです。
- 標準登録様式
- 部位別テキスト
- UICC TNM悪性腫瘍の分類
- ICD-O-3.2
- 解剖学用語
がん登録は、覚えることの多い分野です。資料を相棒にして取り組むことをおすすめします。
おすすめリンク
▶ 標準登録様式と運用マニュアルを1冊にまとめる方法はこちら
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