がん登録の「中級認定者」は院内がん登録実務者としての最上位資格
なんだか、中級のハードルが一気に高くなりますね……
がん登録の資格は「初級」と「中級」だけなんです。
「中級」という名称から、「上級」もあるのでは?と思われがちですが、がん登録の資格には 「初級」と「中級」しかありません。

https://ganjoho.jp/med_pro/training/cancer_registration/index.html
中級認定では、研修受講や認定試験を通して、院内がん登録の実務を担えるレベルに達しているかが確認されます。日々の実務の積み重ねに加え、各部位の解剖・病期分類を理解したうえで登録できる力が求められます。
受験できる条件も多く、試験も決して簡単ではありませんが、ひとつずつ一緒に見ていきましょう。
中級認定者の人数は多い?少ない?
「がん登録 病院等実務者 中級(院内がん登録)認定者」は、2025年4月1日時点で、全国に 1,720名 います。
| 都道府県 | 中級認定者数(名) |
|---|---|
| 北海道 | 77 |
| 青森県 | 18 |
| 岩手県 | 20 |
| 宮城県 | 27 |
| 秋田県 | 27 |
| 山形県 | 15 |
| 福島県 | 24 |
| 茨城県 | 32 |
| 栃木県 | 29 |
| 群馬県 | 27 |
| 埼玉県 | 56 |
| 千葉県 | 74 |
| 東京都 | 192 |
| 神奈川県 | 94 |
| 新潟県 | 28 |
| 富山県 | 24 |
| 石川県 | 19 |
| 福井県 | 11 |
| 山梨県 | 8 |
| 長野県 | 28 |
| 岐阜県 | 26 |
| 静岡県 | 50 |
| 愛知県 | 92 |
| 三重県 | 21 |
| 滋賀県 | 26 |
| 京都府 | 41 |
| 大阪府 | 124 |
| 兵庫県 | 65 |
| 奈良県 | 19 |
| 和歌山県 | 22 |
| 鳥取県 | 11 |
| 島根県 | 10 |
| 岡山県 | 35 |
| 広島県 | 43 |
| 山口県 | 27 |
| 徳島県 | 22 |
| 香川県 | 18 |
| 愛媛県 | 18 |
| 高知県 | 12 |
| 福岡県 | 78 |
| 佐賀県 | 8 |
| 長崎県 | 21 |
| 熊本県 | 23 |
| 大分県 | 12 |
| 宮崎県 | 9 |
| 鹿児島県 | 27 |
| 沖縄県 | 30 |
| 合計 | 1,720 |
※中級認定者の人数は、がん情報サービスに掲載されている「中級認定者一覧(2025年4月1日現在)」をもとにまとめています。
中級認定者が1720名いるのに対し、がん登録を実施している医療機関は次のとおりです。
- がん診療連携拠点病院等:461施設
- 小児がん拠点病院:6施設
- 拠点外病院:415施設
合わせて 882施設 が院内がん登録を実施しています。
※院内がん登録2023年集計の報告書が報告された2024年6月時点
単純計算すると、1施設あたり約2名 の中級認定者が配置されている計算になります。
大きい病院だと、やっぱり足りませんよね?
中級認定者は全国的に配置されていますが、拠点病院の規模を考えると、決して十分とは言えない状況が見えてきます。
実際には、
- 5名以上配置されている施設
- 1名のみで業務を担っている施設
と、施設ごとに大きなばらつきがあります。
1名体制の施設があることを考えると、中級認定者は 決して多いとは言えません。
理由としては、
- ダブルチェックができず、判断や確認をすべて1人で行わなければならないこと
- 登録ルールの変更や国立がん研究センターからの重要な通知について、常に最新情報を把握しておく必要があり、1名体制では負担が大きいこと
といった点が挙げられます。
複数名体制であることが望ましい業務であることは、現場ではよく実感されていると思います。
なぜ中級認定者が必要とされているのか
― がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針との関係 ―
院内がん登録の実施に係る指針では、院内がん登録の実務を担う者に対して、一定の知識と技術を継続的に身につけること、国立がん研究センター等が提供する研修を受講することが明確に求められています。
しかし、「中級認定者」という名称が直接用いられているわけではありません。
がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針では、国立がん研究センターが実施する研修で「中級認定者の認定を受けている者」を、院内がん登録の実務を担う者として1人以上配置することが求められています。
つまり、中級認定者が求められているのは、単に「資格を持っているから」ではなく、院内がん登録の質を担保できる実務者であることが、制度上求められているからです。
中級認定の有効期間は4年間で、認定を継続するためには、認定期間内に更新試験を受験する必要があります。
なお、認定期間(4年)を過ぎると認定は取り消されるため、認定の継続を希望される方は、必ず期間内に更新試験を受けるようにしましょう。
中級認定を受けるための条件と流れ(応募資格)
中級認定は、実務経験を前提とした資格 です。応募時点で、以下の条件を満たす必要があります。
- すでに初級認定者であること
- 院内がん登録の実務経験があること(以下のいずれか)
- 2年以上の実務経験がある
- 1,000件以上の登録実績がある
- 院内がん登録を実施している医療機関に勤務していること
- 施設長からの推薦状があること
施設長の推薦状まで必要なんですか?
もはや「個人で取る資格」ではない感じですね……。
そのため、中級認定試験に合格したときも、更新試験に合格したときも、認定証書は本人ではなく「所属施設長宛」に郵送されるんですよ。
また、中級研修を受けるためには「中級(院内がん登録)研修受講試験」に合格する必要があります。
中級(院内がん登録)研修受講試験
試験に受からないと、受講できないんですか?
中級研修を受講するには、初級相当の知識を確認する受講試験に合格する必要があります。
中級研修を受講するためには、中級(院内がん登録)研修受講試験に合格する必要があります。
この受講試験では、40問が出題され、一定の基準を越えていないと中級研修を受講することができません。
2025年度の受講試験についての詳細は、以下の公式資料をご確認ください。
👉 2025年度 中級(院内がん登録)研修受講試験 注意事項(PDF)https://ganjoho.jp/med_pro/training/cancer_registration/intermediate/pdf/2025_attention.pdf
中級研修・受講試験の最新情報はどこで確認する?
中級(院内がん登録)研修や受講試験の内容・日程・募集条件は、年度ごとに変更されます。そのため、受講を検討する際は、がん情報サービスの「がん登録実務者研修」ページで、必ず最新情報を確認してください。
過去の情報を見て準備していたら、条件が違う…なんてこともありそうですね。
中級研修や受講試験は、募集時期や区分、条件が年度ごとに見直されます。
特に春から夏にかけては、随時更新されるので公式ページでの確認をしてください。

このページでは、
- 初級・中級それぞれの研修・認定試験
- 受講試験の有無
- 募集要項・注意事項(PDF)
- 更新試験や認定期間について
といった情報が、年度ごと更新されていきます。
受講試験や研修の詳細を確認する際は、必ずこの公式ページを起点に確認するようにしてください。
初級認定は、公式サイトのeラーニングで学習し受験できる
初級認定は、院内がん登録支援サイトに掲載されている初級者向けのeラーニング(テキスト・動画)を活用して学習することで、実務経験がなくても受験・合格を目指すことができます。
病院や診療所に勤務していなくても受験が可能なため、診療情報管理士コースのある専門学校に在籍する学生が、在学中に受験するケースも多く見られます。
私が以前、専門学校でがん登録の講義を担当していた際にも、受験した専門学生のうち、半数以上が初級認定試験に合格していました。
※これは、あくまで当時の担当クラスにおける経験に基づくものです。
中級に求められるレベル
院内がん登録を 2年以上、または 1,000件以上 経験している時点で、すでに 初級レベル(主要5部位)を超えた実務経験を積んでいると言えます。
主要5部位(いわゆる5大がん)は、
- 胃
- 大腸
- 肝
- 肺
- 乳腺
です。
ただし近年は、
- 肝がんの症例数は減少傾向
- 前立腺がん、膵臓がんは増加傾向
にあり、主要5部位以外の症例を登録する機会も増えています。
2年以上、または1,000件以上登録している方であれば、主要5部位以外の症例登録を経験していることも多いでしょう。初級認定と中級認定では知識の範囲が格段に広がるので、主要5部位に限らず、各部位ごとの特性を理解し、進化し続ける標準的な治療に関する知識を常にアップデートしていく力が求められます。
中級研修は、がん診療連携拠点病院等や全国がん登録集計に協力する医療機関で働く初級認定者を主な対象としています。
主要5部位以外の症例についても、UICC TNM分類などの病期分類を適切にコーディングでき、各種がん取扱い規約を理解した実務者を育成することが研修の目的とされています。
試験対策はどうすればいい?|中級認定試験・更新試験
試験形式(CBT)
中級認定試験・更新試験は、CBT(会場型コンピュータ試験)形式で実施されます。
2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響によりCBT形式となりましたが、それ以前は、東京・築地にある国立がん研究センターで実施されていました。
当時は、月曜日から木曜日まで集中的に講義を受け、金曜日に試験を受けるという流れで行われており、短期間で多くの内容をインプットする必要がありました。
CBT形式になったことで、事前の学習はeラーニングを活用し、自宅で進めることが可能となりました。そのため、働きながらでも計画的に学習を進めやすい環境が整っています。
また、試験についても、各都道府県に設けられた会場で受験できるようになり、
遠方への移動負担が軽減されました。
出題の特徴
- 選択肢の中から解答を選ぶ形式
- 知識だけでなく、判断力・理解力が問われます
なお、中級研修および中級認定試験は、「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」に基づき位置づけられた、制度上の試験です。
単なる知識確認ではなく、院内がん登録の質を担う実務者としての判断力が求められていることを、改めて意識しておく必要があります。
※制度や指針との関係について詳しく知りたい方は、前章「なぜ中級認定者が必要とされているのか」をご覧ください。
中級認定試験に向けた勉強方法|試験対策
個人的な見解になってしまいますが、がん登録 病院等実務者 中級(院内がん登録)認定試験は、難易度が高い試験です。特に、時間が足りないと感じる方が多い印象です。
実務でさまざまな症例を登録している方でも、試験に向けた対策は必要だと感じています。
特に初級の主要5部位に比べると範囲が広いので、
- 解剖
- 解剖に関する問題には深い知識が必要
- 自施設では経験の少ない部位が出題される
といった点を踏まえて難易度も高めです。
私たちが国立がん研究センターに提出する症例は、正しく登録されてこそ、集計として価値を持ちます。
正確な登録スキルは、「試験に合格するため」だけでなく、実務で活かされるべきものだと、私は考えています。
そのため、微力ではありますが、知識を共有できればと思い、中級試験対策の一問一答問題を少しずつ蓄積していくことにしました。
▶ 中級試験対策|一問一答(問題)はこちら
一問一答は、YouTube動画で公開しています。
動画にすることで、文章だけでは分かりにくい部分も、画面を見ながら理解を深めやすいと考えて作りました。問題だけでなく、解答のあとには考え方や確認ポイントをあわせて解説し、実務や試験に結びつく理解を目指しています。
また、通勤時間やすきま時間に聞き流しながら取り組める点も、動画形式の特徴だと考えています。
なぜ一問一答なのか
1問ずつ出題し、解答のあとに必ず解説を加えています。
- 標準登録様式のどこに書いてあるのか
- 部位別テキストのどの記載と結びつくのか
を確認できるようにしています。
中級認定試験では、1問ごとに立ち止まり、根拠を確認する学習が大切だと考えています。実務の合間で、少しずつでも取り組めるよう、問題は今後も順次追加していく予定です。
まずは1問。
「今の自分の理解度」を確認するところから始めてみてください。積み重ねていけば、必ず力になります。






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